祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
辺りが暗くなり、街の街灯が灯るまで2人はドライブを楽しんでいた。




「そろそろ帰るか。今日お前炊事当番だろ」

「そうだった。何食べたい?」

「…何でもいいや。食えれば」

「食べられない物なんて作らないわよ!」




キヨが顔を膨らませてそっぽを向くと、イノリはフッと笑った。


和やかな空気が流れている車内にいきなりキヨの携帯が鳴り響いた。



着信主はケン。

着信履歴にはケンからの着信が並んでいた。




「もしもーし。どうしたの?もうすぐ家着くよ」

「大変なんだよ!!カゼとカンナがおかしくて…俺どうしていいかわかんなくて…」

「え?なんで…」




キヨは気付いてしまった。


カンナがカゼに思いを告げ、最悪の結果を招いたのだと。




青ざめるキヨから携帯を奪い話し出すイノリ。




「よう、なんだ?何があった?」

「イノリに用はねぇ!!とにかく早く帰ってきて!早くだからな!!」




ケンはそう叫ぶと通話を切った。


イノリは急いで家に向かうのかと思いきや、車を家とは反対方向に走らせた。




イノリは近くのコンビニに車を停めるとキヨの肩を掴み、自分に向かい合わせる。
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