祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
カゼもロッカーに乗ると寝そべった。



「女の子達はもういいの?」


「………うん。大丈夫」


「スパイクじゃなくてジャージとかあげればよかったのに」


「………ジャージは寝巻きにしてるからね」



カゼはそれだけ言うと、目を瞑って眠り始めた。


廊下の窓から入ってくる風が5人の髪を揺らす。




「カゼが写真を撮る意味がないからだって言ってたけど、どういう事?」



キヨはカゼの髪を触っているカンナに問う。




「ん?あぁ多分ね、カゼは私達との思い出だけ残せればいいと思ってるのよ。だから他の子と写真を撮ってもカゼには何の意味もないって言いたかったんだと思う」


「なんでカンナはカゼ語の訳が出来んだよ。さすが通訳目指してるだけあるよな」


「カゼ語って何よ。…まぁ、カゼの事なら何でも理解しているつもりよ」



カンナは優しく微笑みながら眠るカゼの髪を撫でていた。


イノリもカンナの真似をして、自分の足の間に座っているキヨの頭を撫でる。




「あー!!イノリ、キヨにベタベタ触んなよ」



ケンはイノリからキヨを引っ張り自分に抱き寄せた。
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