祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】

4・崩壊の始まり

ゴールデンウイークに入り、5人は地元へ里帰りしていた。



大型連休だけあって、空港も駅も人で溢れかえっている。




「新幹線の乗車率120%だって!まじありえない!!なんで指定席にしなかったの!」


「仕方ねぇだろ。指定席は満席だって言われたんだから。…てか、お前チビだから迷子になると見つけにくいだろ。離れんな」




イノリは人に少し酔っているキヨの腕を引っ張り、自分の胸に引き寄せる。



キヨは人込みに疲れながらも、幸せを感じていた。





「吐くなよ。吐きたくなったらケンに向かって吐け」

「イノリは俺を何だと思ってんだよ!……キヨにもベタベタ触りやがって」



ケンが口を尖らせながらイノリを睨んでいると、5人の前に新幹線が止まった。



5人は沢山の人に押されながら、自由席を確保しようと新幹線の中に乗り込む。





「…ちくしょう!席取れなかったね」

「ケンがもたもたしてっからだろ」




席を取る事が出来なかった5人は、出入り口の廊下にしゃがみ込んでいた。




「はぁ…疲れた。今度は前もってチケット取って帰ろうね」



カンナは荷物の上に座りながら呟く。


暫くすると、ケンは壁にもたれてうたた寝をし始めた。
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