祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
家を出て行くキヨとケンの後ろ姿を見て、カンナは微笑んでいた。


そんなカンナの元に支度を終えたイノリがやってきた。




「ケンは本当にキヨが好きよね。昔からずっとキヨキヨ言ってるもの」


「カンナはどうなんだよ。お前も昔からずっとカゼのこと好きなんだろ」


「いいのよ、私は。カゼを好きなだけでいいの」




カンナは洗った食器を拭きながら呟く。


イノリはそんなカンナを見ながら煙草に火をつけた。






ところかわって、キヨとケンを乗せた車はガソリンスタンドに着いた。



「ガソリン代もバカにならないね」

「まぁな。でも仕送りも貰ってるし、みんなバイトもしてっから大丈夫だよ」




ガソリンを入れてる間、爆音でパンクが流れる車内。


曲に合わせてケンはハンドルを指で叩いている。




「ケンはバラードとか聴かないの?」

「聴かないねぇ。俺っていったらロックだろ」

「そうだけど、バラードの方が女の子受けすると思うよ?」




キヨは曲の音量を下げた。



ケンはキヨを横目で見て舌を口の中で動かしながら頷いていた。
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