祈りのいらない世界で〜幼なじみの5人〜【実話】
「………言ったろ。イノリはそんなに器用な人間じゃないって。…あいつは自分を許せないんだ。誰かに許して貰えないと許せないんだよ」
「許せないって子どもを作った事?でも生んだのはお姉さんの意思であってイノリは…」
「………そんな簡単な事じゃない。よく考えてみて、イノリの気持ちを」
ケンはカゼの言葉を聞いて、複雑な気持ちになった。
望まない子どもを作った罪悪感。
誰も守れない無力感。
愛する人に想いをぶつけられない苦しさ。
それを1人で抱えてきたイノリの気持ち。
考えるだけでケンは辛かった。
まだ経済力も世の中も知らない自分たちは、ただ幼なじみの存在に頼って、縋りながら安心している。
何故イノリがあの家を出たのか、何となくわかったケンだった。
「カゼは最近どうなの?」
「………俺は特に何も」
「お兄さんの奥さんの事、まだ好きなの?」
ケンがカゼを見ると、カゼは困ったように微笑んでいた。
「許せないって子どもを作った事?でも生んだのはお姉さんの意思であってイノリは…」
「………そんな簡単な事じゃない。よく考えてみて、イノリの気持ちを」
ケンはカゼの言葉を聞いて、複雑な気持ちになった。
望まない子どもを作った罪悪感。
誰も守れない無力感。
愛する人に想いをぶつけられない苦しさ。
それを1人で抱えてきたイノリの気持ち。
考えるだけでケンは辛かった。
まだ経済力も世の中も知らない自分たちは、ただ幼なじみの存在に頼って、縋りながら安心している。
何故イノリがあの家を出たのか、何となくわかったケンだった。
「カゼは最近どうなの?」
「………俺は特に何も」
「お兄さんの奥さんの事、まだ好きなの?」
ケンがカゼを見ると、カゼは困ったように微笑んでいた。