私達は机の落書きから始まった。
 
 
でも、後にも引けず、私は決意した。
 
 
右耳にオキシドールを塗って、消毒する。
 
 
スーッと冷たくなる感覚。
 
 
「一瞬だけ、我慢してね…」
 
 
そう言って、ピアッサーを押す音が間近で聞こえ、目をギュッと閉じた。
 
 
痛い‼って思ったのは、本当に一瞬。
 
 
次に襲ってきたのは、恥ずかしさ。
 
 
理由は、私の耳から流れる血を、遼平が舐め取ったから。
 
 
「な、何してんの!」
 
 
「消毒」
 
 
平気な顔でペロッと舌を出す。
 
 
かぁっと赤くなる顔を隠すように下を向きながら
 
 
「汚いから…」
 
 
「菜々ちゃんが汚いわけないよ。
 
痛かった?ごめんね。」
 
 
 
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