私達は机の落書きから始まった。
 
 
入るタイミングをすっかり逃してしてしまった私が、廊下にいると、ひょこっと顔を出した。
 
 
「何してんの?
早く入っておいでよ。
もう終わったから。」
 
 
気付いてたんだ…
 
 
「ごめんね。
 
覗くつもりはなかったんだけど…」
 
 
「いいよ。
 
でも、嘘付いてんの見られたな。」
 
 
ははは。と笑う遼平。
 
 
嘘というのは、好きな人のことだろう。
 
 
遼平の嘘つき。
 
 
嘘なんかじゃないくせに…
 
 
「もったいないなぁ。
可愛い子だったのに。」
 
 
でも、その嘘には気付かないフリをするよ。
 
 
きっと、遼平も私も傷付くから。
 
 
 
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