私達は机の落書きから始まった。
 
 
甘くて優しい香り。
 
 
今も甘い香りがする遼平だけど、その香りとは少し違う。
 
 
今の香水は、舞ちゃんが気に入ってたって言ってたっけ。
 
 
……変えるわけないよね?
 
 
でも……
 
 
「こちら、プレゼントですか?」
 
 
「…はい。」
 
 
無意識にレジに出していた。
 
 
 
 
手の中にあるのは、小さな青い包装された香水。
 
 
喜んでくれるかな?
 
 
手の平に収まる幸せを私は暫く眺めていた。
 
 
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