私達は机の落書きから始まった。
 
 
移動中、彰の手が不意に私の頭に触れた。
 
 
あまりに急で、身体がビクッと反応してしまう。
 

彰は表情を変えずに、
 
 
「顔が赤いけど…何かあったのか?」
 
 
子供をあやすかのように、優しく撫でる。
 
 
「あはは。
彰ってば、お父さんみたい。
…何もないよ。」
 
 
顔が赤いのは、きっと遼平のせい。
 
 
私の答えを聞いて、安心したように、笑う。
 
 
彰に隠れファンが沢山いるのは、こういう優しさなんだろうな。
 
 
< 273 / 400 >

この作品をシェア

pagetop