私達は机の落書きから始まった。
 
 
「ち、違うっ。」
 
 
違わない。
 
 
泣きたくなんてないけど、勝手に涙が出るんだ。
 
 
泣きたくないのに…
 
 
 
俯く私の頭をぽんッと優しく撫でた。
 
 
「俺だけを見てて。
次の試合、あのチームと対戦だから。
俺、ぜってー勝つから。
だから、俺だけ見てて。」
 
 
そう言って、あの憎めない笑顔を向ける。
 
 
うん。以外言わせないという笑顔で…
 
 
いつの間にか流れていた涙をすくってくれた。
 
 
人目があるのに…
 
 
なんて思ったのは、最初だけ。
 
 
今は、遼平に感謝していた。
 
 
< 44 / 400 >

この作品をシェア

pagetop