私達は机の落書きから始まった。
「拓也君は、そんなんじゃないよ」
ただの勘違いだよ。
優里も言ってたけど、そんなの、拓也君本人にしかわからない事だし。
右隣に座ってた遼平が、私の右耳に唇が触れるくらいの距離で
「菜々ちゃんの“悪い虫”は、俺だけで十分でしょ。」
遼平の低い声と、甘い香りで、頭がクラクラする感覚に襲われる。
バッと、手で耳を抑える。
きっと、顔も赤いだろう。
「な、何言って……」
なんで、遼平なんかに意識してんだ。
こんなの普段から言う奴なのに…