私の初恋は屋上で
私の初恋は屋上で

高校入学式。私、菊地乃愛は泣いていた。
『ひぐぅっ(泣)』
原因は昨日死んだお母さん。私は友達と遊んだ帰りだった。友達と別れ、家に帰る途中。
すると背後から声がかかった。
『乃愛!やほ!』
お母さんだ。私は笑みをこぼした。私が小学6年生のとき親が離婚し、私はお父さんについていった。理由はお母さんの不倫。新しい旦那さんができたのだ。だから私はお母さんにはついていかなかった。きっとお母さんもそれを望んだ事だろう。
そして今日は1年ぶりにお母さんに会う日。お母さんとは1年に一度しか会えないので、私はすごく楽しみだった。友達とも早く別れ、お母さんに会いにいった。そして事件はその時起こった。
『お母さん・・・!』
私は走った。心のなかはお母さんの事でいっぱい。まずお母さんになんて言おう。夜ご飯はお母さんとハンバーグ作りたいな。高校の制服お母さんにみせよう。そんな楽しみな思いで溢れていた。しかし―。
キキーーーーッッ!!ドンッ
お母さんが横から来た車に跳ねられた。お母さんは宙を飛び倒れた。私はその場に立ちすくし、ぼーぜんとしていた。
『お母さ・・・ん?』
状況を理解するのにはずいぶんかかった。
『ひぃっ・・・。きゃーーーー!?お母さん!お母さん!』
顔は涙でいっぱい。頭が真っ白になりうまく立てず、私はその場にへたれこんだ。うそ・・・。夢・・・?信じられなかった。私は涙でいっぱいになった顔を袖でぬぐい、心を落ち着かせようと必死になった。しかしいっこうに心は落ちつかない。そしてまた涙が顔をぐちゃぐちゃにする。
『だ、大丈夫?お嬢ちゃん・・・。』
振り向くと顔を真っ青にそめた男の人が立っていた。私はすぐに気づいた。
こいつだ。こいつがお母さんを殺したんだ。
『・・・さい・・・。』
『え?』
私は名一杯にさけんだ。
『お母さんを返してください・・・!』
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