私の初恋は屋上で


『乃愛が‥‥記憶喪失!?』
お父さんが顔を真っ青にして、驚きの声を漏らす。
『どうして‥‥。‥‥って事は前の記憶とかも無くしていたり‥‥?』


医者は顔をしかめた。
『さぁ‥‥。どうでしょう。聞いてみましょうか。』
『は、はい。』



お父さんが私の方を向く。
『乃愛、去年の夏俺とお兄ちゃんと乃愛で、海に行ったんだ。近くのホテルで泊まったんだけど‥‥。覚えてる?』


‥‥‥分かんない。
私は首を横に振る。

それからお父さんは何度も質問をしてきたが、そのすべてに私は首を横に振る。


『の、乃愛ちゃん‥‥‥本当に私の事、覚えていないの?』
こくりと頷く。


女の人は目に涙をため、次第にそれは溢れでた。




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