私の初恋は屋上で


『乃愛様のお父様とお母様は、乃愛様を産まれた後、仕事が凄く大変になられました。そして、乃愛様と過ごす時間もすくなくなり、乃愛様はいつも一人だったんです。』



あ、思い出した。
そう。



私はいつもひとりだった。





大きい部屋に私一人。



お人形でいつも遊んでいた。



言葉や顔には出さなかったけど―。





私は寂しかった。





『乃愛様?大丈夫ですか?』



『え、あ、うん。‥‥ねぇ、記憶を失ったのも嘘なの?』



『あ、はい。すみません。』



『いや、大丈夫だけど‥‥‥。あ、話続けていいよ?』


『はい。』



そっか。私思い出したくなかったんだ。



嫌な記憶だから。



でもじゃあ―。




純也のことは?




なんで、思い出せないの―?
< 30 / 50 >

この作品をシェア

pagetop