私の初恋は屋上で
うるさい、うるさい―。
私の事はほっといてよ‥‥。


始業式がおわり、ホームルームがおわり‥‥。


気づいたら屋上にいた。
風がヒューと音をたている。
きもちい―。

私の醜い心を洗ってくれているよう。

ふと、私はあの日の事を思い出した。
お母さんが引かれて死んだ、あの日の事を。


あの後、お父さんが来た。
髪は乱れ、息が荒く、顔には泣いた後が残っていた。
その姿をみた私は急に涙が溢れ落てきた。
ぼろぼろ泣く私をみたお父さんは、何も言わず、私を抱きしめた。強く、強く抱きしめた。
『うっ‥‥‥お‥‥‥か‥‥あさ‥‥ん‥‥。うぅぅぅーー‥‥。』
『乃愛』



『これから、どうしようか。』




『おーい、聞こえてますかーー?』
『ゔ!?』
思わず変な声がでてしまった。
『ハハハハッ笑すげー声!』
『あ、あなた誰よ‥‥。』
キッと睨みつける。男はニカッと笑い私の近くに歩み寄ってきた。
『俺は齋藤純也(さいとうじゅんや)!』
あれ?この名前‥‥どこかで‥。
『んっとー誰だっけなぁ。』
『覚えてねーの!?悲しー!!ほら、同じ小学校同じ中学校の!!』
ピーンときた。そうだ、この人は小学校、中学校共に一緒だった‥‥。
『米倉(よねくら)純也!!』
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