私の初恋は屋上で



そして、乃愛が帰ってきた。



ヘリコプターから降りてくる乃愛は、よく見えなかったが、美しかった。



初めての恋だった。



家に入ってきて、修司は見とれていた。


少しカール気味な茶色の髪。
腕も足も細く、か弱い、守ってあげたくなるような体。
まつ毛が長く、クリッとした目。
透きとおる綺麗な声。


その全てに修司は惹かれていた。



少し緊張気味た眼差しは、小さい仔猫のよう。


思わず、顔がほころんだ。


嬉しかった。



こんな美人が家族になる。



いや、そうではない。





初めて恋した相手が、乃愛で嬉しかった。
その事に喜びを感じていたのだ。
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