優しい部屋

「ありがとうございますっ。やっぱり小泉サンに聞いてよかった」

にっこりと微笑む彼女。
なんだか、些細な言葉や笑顔が心にぐっとくる。



別に恋心なんかではなく。
下心のカケラもなく。



「あっ。ミユちゃん、今の仕事カタついたら一回飲みにいかない? もちろん俺の奢りね」


カワイイ新入社員飲みに誘うのに、そんな特別な理由はない。

「えっ。ホントですかぁ~。じゃ高いお店予約しておきます」

悪戯っ子みたいな笑顔がさらに俺の心の汚ねーモヤモヤを拭い去ってくれる。




別に特別彼女に惹かれてるわけじゃあない。

ただ俺に笑顔を向けてくれる生き物をみていたかっただけなのかもしれない。



あれ?

これも充分下心か……?



「やっ。店は後で決めような」

ったく。どんな店予約するつもりなんだよ……

そうひそやかに呟きつつも、彼女の笑顔を見てると悪い気はしなくて、気分よく仕事を再開することができた。

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