優しい部屋

ちょっと前に。

「彼女からのメールでも待ってるの?」

内心カナリびくびくしながら聞いた。


コータは一瞬動きを止めて、それからすぐに笑って言った。


「げー。お前ソレ聞く~?
 彼女なんかいねーもん。
 おかしーよなぁ~。
 俺に彼女いねーなんて」

あからさまな泣きまねをするコータに

「何言ってんの?
 全然おかしくないし。
 当たり前じゃん」

そう言って笑った。

ケド。

本当に嬉しかった。

たぶんカラダが床から5センチくらいは浮いてたと思う。


そんなコータに、もう一度聞いた。

「ね。さっきからどんなメール待ってんのよ?」


……今度は、ふざけた顔じゃなく。

さっきから見せる切ない顔で。


「彼女じゃないんだけど」

コータはしばらく言葉を止める。


「俺の……大切な人からのメール。かな」


確かにコータの声はそぉ聞こえた……
< 58 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop