スイートホーム
梨華について考えている途中で、ふいに、連想ゲームのように優さんの顔が思い浮かび、さらに初めて彼と会話を交わした時の記憶が甦った。
『「もりいえさき」さんですか。あ、俺は「やなぎだまさる」って言います』
そう自己紹介したあと、彼は再び私のネームプレートに視線を走らせ、目と目を合わせて満面の笑みを浮かべながら続けた。
『守家さんて管理栄養士なんですね。いつもバラエティーに富んだ、おいしい社食をありがとうございます。もう、お昼時が楽しみで楽しみで』
全国に支店を持つ、大手企業本社の社員食堂に就職し、2年目の春だった。
飲食提供の時間が過ぎ、各テーブルをアルコールで除菌して回っていた私に、自販機の飲み物を買いに来た優さんがそう声をかけたのだ。
あれがきっかけでその後猛烈なアプローチが始まったんだよね。
そしてそういった場面をお互いの部署の人に何度か目撃され、必然的に私達の関係がバレてしまった、と。
そこは入社して最初の三ヶ月間はパートの方に混じって調理補助として働き、全体の流れを掴んでから徐々に栄養士がやるべき仕事を覚えて行くというシステムなんだけれど、彼とファーストコンタクトを取ったのはその業務を一通り覚え独り立ちした頃だった。
それでもまだまだ自信なんかなくて手探り状態で、だからこそ、その労いの言葉にはとても感激してしまった。
やはりこの仕事を選んで良かったと。
『「もりいえさき」さんですか。あ、俺は「やなぎだまさる」って言います』
そう自己紹介したあと、彼は再び私のネームプレートに視線を走らせ、目と目を合わせて満面の笑みを浮かべながら続けた。
『守家さんて管理栄養士なんですね。いつもバラエティーに富んだ、おいしい社食をありがとうございます。もう、お昼時が楽しみで楽しみで』
全国に支店を持つ、大手企業本社の社員食堂に就職し、2年目の春だった。
飲食提供の時間が過ぎ、各テーブルをアルコールで除菌して回っていた私に、自販機の飲み物を買いに来た優さんがそう声をかけたのだ。
あれがきっかけでその後猛烈なアプローチが始まったんだよね。
そしてそういった場面をお互いの部署の人に何度か目撃され、必然的に私達の関係がバレてしまった、と。
そこは入社して最初の三ヶ月間はパートの方に混じって調理補助として働き、全体の流れを掴んでから徐々に栄養士がやるべき仕事を覚えて行くというシステムなんだけれど、彼とファーストコンタクトを取ったのはその業務を一通り覚え独り立ちした頃だった。
それでもまだまだ自信なんかなくて手探り状態で、だからこそ、その労いの言葉にはとても感激してしまった。
やはりこの仕事を選んで良かったと。