スイートホーム
2
「みっともないわー!」
予想はついていたけれど、案の定お母さんは眉間にシワを寄せながら、憎々しげに言葉を吐き出した。
あの衝撃の日から数日後。
無事辞表を提出し、久しぶりに家族一同揃った夕げの席で、その事実を発表した。
決心が鈍らないように、あえて事後報告にしたのだ。
「恋人に捨てられたから仕事を辞めるだなんて。だったら最初から社内恋愛なんかしなければ良かったのよ。こうなる事は充分予想がついた筈でしょ?」
「ごめんなさい…」
「あんたがあの天下の五葉商事に雇ってもらえるなんてこの上ない奇跡だったのに。真面目に勤めあげれば一生安泰だったのよ?それを何でそんなあっさり手離しちゃうのよっ」
「姉ちゃんってつくづく要領が悪いんだよなー」
そこで弟の志希が苦笑いを浮かべながら割り込んで来た。
「4年も付き合って女として微妙な年齢になってから捨てられて、しかも正式に婚約してた訳じゃないから慰謝料ももらえそうにねーし。どうせ破談になるならもっと早いうちか、遅い段階だったら良かったのに」
「こら、しき。そういう言い方はやめないか」
しかし、それまで黙って話を聞いていたお父さんが間髪入れずにたしなめてくれた。
「母さんも。一番傷付いて悩んだのは彩希なんだから、そんな風に責めなくても良いだろう」
「だってあなた…」
予想はついていたけれど、案の定お母さんは眉間にシワを寄せながら、憎々しげに言葉を吐き出した。
あの衝撃の日から数日後。
無事辞表を提出し、久しぶりに家族一同揃った夕げの席で、その事実を発表した。
決心が鈍らないように、あえて事後報告にしたのだ。
「恋人に捨てられたから仕事を辞めるだなんて。だったら最初から社内恋愛なんかしなければ良かったのよ。こうなる事は充分予想がついた筈でしょ?」
「ごめんなさい…」
「あんたがあの天下の五葉商事に雇ってもらえるなんてこの上ない奇跡だったのに。真面目に勤めあげれば一生安泰だったのよ?それを何でそんなあっさり手離しちゃうのよっ」
「姉ちゃんってつくづく要領が悪いんだよなー」
そこで弟の志希が苦笑いを浮かべながら割り込んで来た。
「4年も付き合って女として微妙な年齢になってから捨てられて、しかも正式に婚約してた訳じゃないから慰謝料ももらえそうにねーし。どうせ破談になるならもっと早いうちか、遅い段階だったら良かったのに」
「こら、しき。そういう言い方はやめないか」
しかし、それまで黙って話を聞いていたお父さんが間髪入れずにたしなめてくれた。
「母さんも。一番傷付いて悩んだのは彩希なんだから、そんな風に責めなくても良いだろう」
「だってあなた…」