スイートホーム
もちろん、私達調理する側も同じペナルティを課せられるので、他人事ではなく気を付けないといけないんだけど。


そんなこんなで皆さん予約表については細心の注意を払っていて、ここ一年くらいはキャンセル料を支払う羽目になった方は一人もいないそうだ。


「これでよし、と」


厨房内の後片付け、最終確認を終えた私は、電気を消すと食堂の方へと移動した。


加賀屋さんは飲み物を購入したあと部屋には戻らず、テレビ前の席に陣取りバラエティー番組を視聴している。


「アハハ」


出演者の発言がツボに入るのか、紙コップ入りのコーヒーを飲む合間に何度か大きな笑い声を立てていた。


「お部屋に帰って飲まないんですか?」


彼に近付き、割烹着を脱ぎつつ問い掛ける。


「いやそれがさ、燃えるゴミ、さっきまとめて集積場に置いて来ちまったばっかりなんだよ。だからここで飲んでここのゴミ箱に捨てて帰ろうと思って」


「あ、なるほど」


生活する上でゴミはまたすぐに溜まるけど、確かにそのタイミングなら部屋には持ち帰りたくないよね。


こくりと頷き同意してから続けた。


「じゃあ、私はそろそろ上がりますね」


「あ、うん。お疲れさん。電気は消しとくから」


「お願いします」


「お休み~」


「はい、おやすみなさい」
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