スイートホーム
加賀屋さんに視線を向けたまま歩き出した私は、距離感を誤って隣のテーブルに『ガタタッ』と派手な音を立ててぶつかった。
「いたっ」
「えっ。大丈夫か?」
「あ、はい」
素早く立ち上がろうとした彼を慌てて手で制しつつ、私は返答する。
「思わず条件反射で言っちゃいましたけど、そんなに痛くなかったです。お騒がせしました」
というか、すでに体のあちこちに慢性的な痛みがあるからこそ、動作が覚束ないんだけどね…。
小太刀さんはやっぱりすごい。
彼の宣言通り、あの事件の翌日、主に首から腰にかけて筋肉痛を酷くしたような痛みがさっそく出た。
筋が強張っているような、重いような、熱いような、何とも表現し難い痛み。
とりあえず肩と腰に湿布薬を貼って過ごし、徐々に痛みは和らいで来ているけれど、まだまだ本調子じゃない。
そして不調なのは身体面だけではなく…。
同じくあの日聞いた、哀し過ぎる小太刀さんの告白を、ここ数日ことある毎に思い出し、気を抜くとそのまま自分の心の奥底に存在する、深い闇の中に落ち込んで行きそうになる。
おかげでしっかりと小太刀さんに向き合えなくなってしまった。
かろうじて挨拶と、事務的な会話は交わしているけれど、それで精一杯。
せっかくちょっとだけ歩み寄れたと思ったのに、結局元の木阿弥だ。
「いたっ」
「えっ。大丈夫か?」
「あ、はい」
素早く立ち上がろうとした彼を慌てて手で制しつつ、私は返答する。
「思わず条件反射で言っちゃいましたけど、そんなに痛くなかったです。お騒がせしました」
というか、すでに体のあちこちに慢性的な痛みがあるからこそ、動作が覚束ないんだけどね…。
小太刀さんはやっぱりすごい。
彼の宣言通り、あの事件の翌日、主に首から腰にかけて筋肉痛を酷くしたような痛みがさっそく出た。
筋が強張っているような、重いような、熱いような、何とも表現し難い痛み。
とりあえず肩と腰に湿布薬を貼って過ごし、徐々に痛みは和らいで来ているけれど、まだまだ本調子じゃない。
そして不調なのは身体面だけではなく…。
同じくあの日聞いた、哀し過ぎる小太刀さんの告白を、ここ数日ことある毎に思い出し、気を抜くとそのまま自分の心の奥底に存在する、深い闇の中に落ち込んで行きそうになる。
おかげでしっかりと小太刀さんに向き合えなくなってしまった。
かろうじて挨拶と、事務的な会話は交わしているけれど、それで精一杯。
せっかくちょっとだけ歩み寄れたと思ったのに、結局元の木阿弥だ。