スイートホーム
『あ、そっか。うん、分かった』


速攻で答えたあと、『でも…』と畑山さんは続ける。


『そういうエピソードを聞くと、やっぱり柳田さんには守家さんが必要だったんだな~と思うよ。バカだよね、早まった真似してさ。これから薔薇色の人生が待っていた筈だったのに、自分自身でそれを台無しにしちゃうんだもん』


「畑山さん…」


『あ、ゴメンゴメン。分かったと言いつつ余計な事を。もうこの辺で止めとくわ』


そう宣言し、畑山さんは話を切り替えた。


『ところで、今新しい職場で働いてるんだよね?どう?仕事は慣れた?』


「はい、どうにか」


『そっか。まぁ、守家さんならどこでもやって行けると思ってたけどね。体に気を付けて、頑張って』


「ありがとうございます」


『じゃあ、今日の所はそろそろ切るわ。また、電話かメールしても良い?』


「もちろんです」


『あ、そうだ。良かったら今度池谷さんも交えて女子会やろうよ。ほら、仕事帰りに何度か寄った事のある、あの洋風居酒屋とかで』


「あ、良いですね~」


じゃあその日は夕飯は予約しないようにしないと、なんてとっさに考えた自分が何だかおかしくて、思わず笑みを漏らした。


『じゃ、その時に改めて打ち合わせしよう。またね、お休み~』


「はい、お休みなさい」


通話を終わらせ、ケータイをテーブル上に置いた所で思わずため息。
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