スイートホーム
興奮の針が最大限に振り切れて、箍が外れてしまった私は、自分が爆弾発言をしている事にすぐには気付けなかった。


「この心だけは、自由でいさせて欲しいんです!」


そこまで言い切った所でようやく私はこちら側に戻る事ができ、同時に、普段よりもだいぶ見開いた目で、私を凝視している小太刀さんのその様子に気が付く。


「……えっ!?」


今さらながらに自分が捲し立てた、発言内容を反芻した。


「ええぇーーー!?わ、私、今、何て言いました??」


間抜け過ぎる質問をしてしまった事を今度はすぐに理解し、困惑しながらも、律儀に答えようと口を開きかけた小太刀さんを慌てて制する。


「あ!や、やっぱり言わなくて大丈夫です!分かってますから!」


『ストップ』と体で表現する為に、両手を前に突き出すと、その姿勢のまま、私はジリジリと後退した。


「突然変なこと言ってすみませんでしたっ。今のはどうか速やかに記憶から消して下さい!」


そう叫んでから、私は踵を返し、一目散に逃げ出した。


なんてこと!


どうしてこうなっちゃうの!?


生まれて初めての、自分からの愛の告白だったのに。


結果がどうあれロマンチックに乙女チックに舞台を演出したかったのに。


ゴミ置き場の真ん前で、しかもそこから漂う仄かな臭いを感じつつ、何であんなにうっかりと、しかもキレ気味な告白をする羽目になっちゃうわけ!?
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