スイートホーム
そこに私が加わり、シフトの組み方が微妙に変わるようだけれど、まぁそれは本社の総務課の方が考えてくれる事なので、こちらは指示通りに動くだけだ。


もちろん、休みを取りたいとか勤務を交替して欲しい等の要望も、きちんと聞いていただける。


でも、私からそれを主張する事は多分ないだろうな。


4週8休制で充分お休みはいただけるし、決められたシフトを変更しなければならないほどプライベートが忙しい訳でもない。


何しろ独身だしね。


……恋人自体、いつできるか分からない。


そんな訳で仕事に早く慣れる為にも、与えられた任務を黙々とこなして行くつもりであった。


「あ、早く休憩しましょう。時間なくなっちゃう」


奥さんのその呼び掛けで、前回同様、畳の間でのお茶会がスタートした。


ただし今回は飲み物はセルフで淹れ、お茶うけとして、私が引っ越し祝いに持参した焼き菓子が出される事となった。


もちろん、この場にいない人の分はちゃんと別に取り分けた。


ちゃぶ台前に5人で仲良く腰掛け、それぞれ飲み物やお菓子を思い思いに口へと運びつつ会話を交わす。


「厨房での仕込みから後片付けまで、基本1人でやらなくちゃいけないのよね」


緑茶を飲み飲み大塚さんが言葉を発した。


「でも、たとえ全員が揃ったとしても20人いかないから」


「そうそう。それにメニューは一律同じだし。意外と楽よね」
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