陽だまりの蒼い花







一人で歩く帰り道は




小学校も中学校も、高校もわりと近くにあったから、相変わらず変わらない




そして、この変わらない道が余計に



彼の存在を私に焚きつける





この道を、君と毎日のように一緒に歩いたんだ



雨の日も雪の日も



寄り道したりして



二人手を繋いで



絶対に離れない、離さないと




約束した






なのに君は



もう、私の隣にはいない




どんな奇跡が起こっても、君が私の隣に並んで、私の手を握ることは




二度とない





一人で着実に家に向かっていた足は



赤の信号で、踏切りの前に止まった



向こうから電車がやって来て、目の前を通り過ぎて行く




ただなんとなくその電車の中に目を向けた



人はそんなに乗っていない




その中に




「………っ」




彼が




ーーーいたような気がした




一瞬だったけど、見えた色白で短い黒髪




でも、そんな人は世の中にたくさんいる




きっとあんな夢を見たから、錯覚したんだ




彼なわけない




だって彼は







もう、この世にいないのだから







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