憎悪と、懺悔と、恋慕。
---------こうして無事テストは終わり、クリスマスを迎えた。
クリスマスのケーキ屋は、戦場だった。
彼氏いない同士、この日は沙希一緒にバイト。 2人で『ヒィヒィ』言いながら働く。
忙しさの余り『何はしゃいでんだよ。 オマエら絶対キリスト教徒じゃねぇだろ』などと、沙希がお客さんに聞こえない様に悪態をつき始めた。
彼氏ではないけれど、バイトが終わったら木崎センパイに会えるワタシとしては、沙希と違って全然気が立たない。
そんなルンルンなワタシに、
「莉子は何も悪くないんだから堂々としてれば良いと思うけど、何も知らない木崎センパイのお母さんとクリスマス過ごすのってしんどくない?? 大丈夫??」
今日、ワタシが木崎センパイの家に行く事を知っている沙希が、ワタシには優しい言葉をくれた。 さすが親友。 LOVE沙希。
「しんどくなくはないけど・・・木崎センパイに会えるからねぇ」
クリスマスを木崎センパイと・・・。 2人きりではないけど。 でも、どうにもこうにも顔がニヤける。
「恋しやがって。 心配して損したわー。 いらっしゃいませー」
沙希は、だらしなく口元を緩めてヘラヘラしているワタシに冷めた笑顔を向けると、そんなワタシを放ってお客さんの元へ行ってしまった。