憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 目まぐるしく働いて、閉店時間になった。

 閉店作業をしようと、ショーケースにわずかに残っていたケーキを下げようと取り出していると、

 「後片付けはワタシ1人で出来るから、ケーキ持ってさっさとあがれ。 メリクリじゃ、色ボケバカ莉子」

 沙希が近付いて来て、ワタシの分のケーキが入った箱をワタシに押し付けると、帰るように促した。

 ほんっと、沙希はイイヤツだ。

 「沙希、まじでアリガトウね。 今度何かおいしいモン奢る。 メリクリすぎるぜ、沙希さま」

 沙希のお言葉に甘え、ケーキを受け取ると、ロッカーへ向かった。

 急いで店着から学校の制服に着替えると、携帯を手に取り木崎センパイにLINEメッセージを送る。

 〔これから向かいます〕

 携帯を制服のスカートのポケットに突っ込み、ケーキを崩さぬ様に大事に抱きかかえ、沙希やお店の人たちに挨拶をしてお店を後にした。
< 115 / 280 >

この作品をシェア

pagetop