憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 駅まで早足で歩いていると、ポケットの中で携帯が震えた。

 ケーキの箱を落とさぬ様に小脇に抱え、ポケットに手を突っ込み携帯を探る。

 取り出した携帯の画面には『木崎センパイ』の文字が表示されていた。

 通話ボタンをタップし、耳に当てる。

 「木ざ・・・『待ってろって。 迎えに行くって言っただろうが』

 電話の奥から木崎センパイの声と共に、バタバタ走る足音が聞こえた。

 そう言われてもねぇ。 もうすぐ駅に着いてしまう。

 「でも、もう駅に着くので電車乗りますよ。 迎えとか大丈夫ですって」

 『オマエはオレの言う事素直に聞かないから、テストもあんな順位なるんだよ』

 ワタシのやんわりととした、遠慮という名のお断りに、何故か暴言を返す木崎センパイ。

 お母さんの手前、ワタシを迎えに来るだけのくせに何という言い分なんだ、木崎センパイ。 しかもあんな順位て。 50番以内って相当成績良いやんけ!!

 「電車乗るんで切りまーす『オイ!!』

 ----------プツ。

 イラっとしたから、切ってやったぜ。
< 116 / 280 >

この作品をシェア

pagetop