憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 
 お母さんがいる、最後のお正月。

 お父さんとお母さんは、仲が悪かったわけではないが、会話の多い夫婦ではなかった。

 だから、あまり会話をしない2人に違和感はない。

 莉玖は『お母さんの事は許せないけど、嫌いにはなれないよね。 自分の母親だから』と、いつも通りお母さんと接している。

 でも、ワタシはそうは出来ない。

 
 『アンタなんか産まなきゃ良かった』


むしろお母さんの方が、ワタシと普通に接したくないと思うから。

 家族4人で過ごす最後のお正月なのに、家に居たくない。

 逃げたい。
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