憎悪と、懺悔と、恋慕。
玄関のドアを開け、山に登って土まみれになった靴を脱ぐと、覚悟を決めてリビングへ。
中に入ると、お父さんがソファーに座ってワタシを待っていた。
「・・・ただいま。 遅くなってごめんなさい」
お父さんの近くに寄り、頭を下げる。
「・・・あんまり心配させるな。 ・・・思い詰めて、家が嫌になって帰って来ないのかと思った。 無事で良かった」
お父さんは怒るどころか、苦しそうな顔をしながらワタシの頭を『ポンポン』と撫でると、自分の寝室へ行ってしまった。
離婚話で神経を磨り減らしているだろうお父さんに心配を掛けてしまった事が、申し訳なくて胸が痛んだ。
ごめんね、お父さん。
・・・・・・それにしてもあの神社、ご利益がありすぎる。
大吉すぎて怖い。