憎悪と、懺悔と、恋慕。
改札を出ると、莉玖が『仲間のとこに行ってくる』と、家とは別の方向に歩いて行った。
・・・多分、嘘だ。
莉玖もきっと、1人になって泣きたいのだろう。
ワタシの前で泣いてくれていいのに。
そしたら、いっぱい慰めるのに。
お母さんの代わりに、ワタシが。
・・・ワタシじゃダメなんだ。
ワタシがお母さんの代わりになれない事を分かっているから、莉玖はワタシに甘えてこないんだ。
莉玖、ごめん。
ワタシが上手くお母さんと話合っていれば、莉玖からお母さんを奪ったりしなくて済んだのにね。
どうしようもないお姉ちゃんでごめん。
「・・・うぅ」
お父さんに、莉玖に、木崎センパイに、木崎センパイのお母さんに申し訳なくて、お母さんと暮らせない事実が悲しくて、涙が出た。
袖で涙を拭いながら、家へと歩く。
何度目を擦っても、次から次へと滲んでくる。
・・・が、家に近づいた時、ピタっと涙が引いた。
家の前に、見覚えのある姿があったから。