憎悪と、懺悔と、恋慕。
「・・・どうぞ」
だから、木崎センパイのお父さんを家に招き入れた。
木崎センパイのお父さんの前を歩き、リビングへ誘導する。
リビングのドアを開けると、お父さんがソファーで新聞を読んでいた。
「・・・お父さん」
お父さんに声を掛けると、お父さんがこっちを見た。
「おかえ・・・り」
お父さんは、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに平静を取り繕うと、
「散らかってますが、どうぞ」
木崎センパイのお父さんをソファーに座るように促した。
お父さんと木崎センパイのお父さんが、テーブルを挟み向かい合って座った。
お茶を出そうと、リビングと繋がるキッチンへ向かう。
「この度の事を、お詫びに参りました」
キッチンから、木崎センパイのお父さんがウチのお父さんに頭を下げるのが見えた。
そんな木崎センパイのお父さんを、ただ黙って見ているお父さん。
当然の様に流れる気まずい空気。
「・・・粗茶ですが・・・」
とりあえず、お茶と適当なお菓子を用意して、2人の間のテーブルに置いた。
・・・ワタシはここにいない方が良いかな。
掃けた方が良いのかな。
でも、木崎センパイのお父さんが何を話すのか聞きたい。
自分の身の振り方が分からない。