憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 -------結局、小切手は受け取った。

 ワタシがお父さんに『受け取って』と言ったからだ。

 だって、納得出来なかったから。

 木崎センパイと木崎センパイのお母さんを裏切って、お母さんを一人ぼっちにして、お父さんと莉玖とワタシからお母さんを奪った木崎センパイのお父さんが、何も失わないなんて赦せないと思った。

 お金だけでも奪ってやりたいと思った。

 はした金だろうが何だろうが、何だって良かった。

 木崎センパイのお父さんからしたら、痛くも痒くもない額なのかもしれない。

 でも、何もなしに木崎センパイのお父さんがした事に目を瞑るなんて、絶対に出来ないと思った。
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