憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「・・・気になったきっかけは、そう。 『あぁ、ウチの家内と名前が一緒だな』って。 でも、名前で惹かれるって有り得ないでしょ??」

 木崎センパイのお父さんが、何ともいえない顔をしてワタシを見た。

 困った様な、情けない様な・・・馬鹿なワタシには表現出来ない。

 「・・・お母さんを選んだのは『呼び間違いの起こらない、安パイ』だと思われてたのかなって」

 だって、木崎センパイもそう言ってたし。

 「・・・言い訳でしかないんだけどね。 それでも聞きたい??」

 木崎センパイのお父さんが、言い辛そうにワタシに訊いた。

 「聞かせてください」

 聞いたところで納得なんか出来ないだろう。 でも、知りたい。
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