憎悪と、懺悔と、恋慕。
「・・・木崎センパイのお父さんがした事は許さない。 でも、見逃します。 だからもう、金輪際こんな事はしないで下さい。 誰も傷つけないで下さい。 誰にもこんな思いをさせないで下さい」
木崎センパイのお父さんを責め立てる事も出来ないチキンなワタシの、精一杯をぶつける。
「約束する。 2度としない」
『本当に申し訳なかった』木崎センパイのお父さんは、16歳のクソガキのワタシに頭を下げると、静かに車に乗り込んだ。
車が走り去る様子を、ただボーっと眺めた。
ウチの家族は壊れてしまったけれど、どうか木崎センパイの家族は誰も欠けないで。
ワタシは木崎センパイの事が好きだから、そう思う。
でも、お父さんと莉玖は違うかもしれない。
『オマエらのトコも崩れてしまえばいい』って思ってるかもしれない。
でもお母さんは、お父さんの事も利玖の事も『優しい』って言ってたらしいし、完全に自分都合だけど、優しい2人がそんな風に思っていないと、ワタシは信じる。