憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「莉子は『ウチだけで良かったよー。 共倒れとか、目も当てられないじゃーん』って笑ってましたけど、ワタシからしたら、何が『良かった』のか全く理解出来ないんですよね。 木崎センパイ、今でこそ莉子に優しくなったみたいですけど、前とか風当たり酷かったじゃないですか。 木崎センパイも木崎センパイのお父さんも、莉子に何の恨みがあるんですか?? そりゃあ、莉子のお母さんは責められても仕方のない事をしましたよ。 でも、莉子は何も悪い事をしていない」

 オレに恨み辛みを言わない早川さんの代わりに、島田さんがオレを詰っている様に見える。

 優しい早川さんの友達も、友人思いの優しいヤツだ。

 「島田さんの言う通り。 早川さんに謝りに行かなきゃ。 早川さん、家事全般してるって言ってたよね?? 料理とか・・・大丈夫なん??」

 正直、あまり器用そうには見えない早川さん。 ちょっと心配。

 「・・・まぁ、見たまんまですよ」

 島田さんが苦い顔で笑った。

 「・・・そっか」

 『それ、どういう意味??』とは敢て聞き返さない。 ・・・多分、そういう事だから。
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