憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「オレ、ケーキ買ったら早川さん家に謝りに行って来るよ」

 謝りたい気持ちは本当。 でも、『謝罪』を口実に早川さんに会いたいと思った。

 オレは何てしょぼいんだろう。 理由がないと動けない、プライドだけ高いうんこバカだ。


 ケーキを買いに店内に戻ろうとした時、

 「あの!!」

 島田さんに呼び止められた。

 「ん??」

 「・・・さっき話したこと、ワタシから聞いたって莉子には言わないでもらえませんか?? ワタシがしゃしゃった事で莉子との間にヒビが入るとか、本当に嫌なので」

 振り向くと、島田さんがバツが悪そうに眉間に皺を寄せていた。

 「言わないよ。 むしろ話してくれてありがとう。 この話は、オレが絶対知っておかなきゃいけない事だったから」

 「ワタシは莉子と違って、黙って内に秘めておく事が出来ない性格なんですよ」

 島田さんが苦笑いした。

 島田さんの様な友達を持つ早川さんを、羨ましく思う。
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