憎悪と、懺悔と、恋慕。
 
 「・・・早川さんに話があって。 ・・・早川さんの両親、離婚したんだって??」

 オレの言葉に、早川さんは一瞬顔を歪めると、すぐに笑顔を取り繕った。

 「・・・あぁ。 木崎センパイのお父さんに聞いちゃいました?? 特に口止めしなくても『言わないだろうな』って高を括っていたんですけど、甘かったですねー。 まぁ、木崎センパイが気に留める必要もない事ですよ」

 早川さんは、オレが親父から聞いたものだと勘違いしている様だけど、島田さんとの約束もあるし、そこは否定も肯定もしないでおく。

 「・・・親父が失礼な事してゴメン」

 早川さんは、どうしてオレを責めたててくれないんだろう。

 オレが大学に受かろうが落ちようが、早川さんの知った事ではないだろうに、なんでオレなんかに気を遣ってくれるのだろう。

 早川さんの優しさに、申し訳ない気持ちが込み上げる。
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