憎悪と、懺悔と、恋慕。
 

 「・・・オカンさぁ。 最近親父の様子がおかしいって、思った事なかった??」

 「・・・え??」

 オカンは、オレの問いかけに一瞬右眉をピクつかせ、すぐに笑顔を取り繕った。

 オカンはバカじゃない。 オカンも何となく気が付いてたんだ。

 「・・・親父、早川さんのお母さんと浮気してたんだよ」

 「・・・何、言ってんのよ」

 オカンは笑顔のままだけど、驚きを隠せない様で、少し声を震わせ、睨んでいるわけではないが、大きく見開いた目で強い視線を早川さんに向けた。

 「オレ、早川さんと付き合いたいと思ってる」

 オレの言葉に、オカンが笑顔を消した。
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