憎悪と、懺悔と、恋慕。
「・・・莉子ちゃんは・・・いつから知っていたの??」
オカンの表情が急に冷たくなって、憎しみを放ち出した。
こんなオカン、初めて見た。
息子のオレでさえ、動揺してしまう。
「・・・初めてお家にお邪魔した時には・・・既に知っていました」
申し訳なさそうに俯く早川さん。
見開いたオカンの目から涙が零れた。
「・・・面白かったでしょう。 何も知らずに莉子ちゃんを可愛がるワタシを見て、滑稽に思えたでしょう」
オカンは、口元は笑っているのに、目が死んでいた。
「そんなつもりは・・・「あの時は、オレが早川さんを誘って連れて来たんだよ。 早川さんはむしろ来たくなんかなかったはずなのに、それでも来てくれたんだよ。 早川さんは何も悪くない」
即座に早川さんを庇うと、オカンはそれが気に入らなかったようで、奥歯を噛み締めまた涙を零した。
「・・・なんで湊まで・・・。 やっぱり親子なのね。 お父さんの不倫相手と同じ血を引く娘を好きになるなんてね」
「・・・・・・」
オカンが怒りの中で呆れながら吐いた言葉に、返事が出来なかった。
オレが1番突かれたくなくて、1番認めたくなかった事だったから。