憎悪と、懺悔と、恋慕。
家に帰ると、お母さんは既にいてキッチンで晩ゴハンを作っていた。
キッチンから繋がるリビングでは弟がゲームをしている。
だから、今は話せない。
「・・・ただいま、お母さん。 ・・・ちょっと話があるんだけど」
鞄から空のお弁当箱を取り出し、食洗機に入れながらチラッとお母さんに視線をやると、何の話か察しのついたお母さんが眉間に見た事もない深い皺を寄せ、
「忙しいから、また今度にして」
またワタシをスルーした。
「いつなら時間あるの??」
スルーされてる場合じゃないから食い下がる。
お父さんも木崎センパイのお母さんも、まだ気付いていない。
今ならまだ間に合う。
今なら、無かった事に出来る。
母親の悪事を隠蔽する事は、決して良い事ではない。
でも、これが得策なんだと思う。
ワタシはこれからも、今まで通り平和な日々を安穏と暮らしたい。
なのに、
「暫くずっと忙しい」
お母さんはワタシの方を見もせずに、弟でさえしない様な幼稚な返答をして、ワタシとの話し合いを拒否した。
突っ込みトコロ満載のワタシの頭にも気が付かない、お母さん。
お母さんは、自分の事しか考えていない。
お母さんへの嫌悪感が止まらない。