臆病者のシーソーゲーム(仮)
「……き?……椿?」
「ん~?」
美希の柔らかい声で目を覚ます。
どうやら皆のざわめきをBGMにして、机にふて寝してしまったらしい。
顔を起こせば、私を上から見下ろす美希が眉を寄せていた。
「具合悪い?」
腰を下ろして私と目線を合わせた美希は心配そうな顔で見ている。
「んーん。寝不足なだけだから大丈夫だよ」
寝不足……9時間睡眠した奴が言うセリフじゃないけど、
今は……いつも、こういう日はあまり物事を考えないようにしている。
物事を考えすぎると……自分の中にある変な欲が出てこようとするから…
他の人はコレを外に出すのだろうけど、
私は自分を守りたいからコレを出すことはできない。
だから『平気な気持ち』を装って、ズキズキする自分には気づかない振りしてやり過ごす。