臆病者のシーソーゲーム(仮)
移動教室の時は大概同じ学年の他のクラスも通るので、
奴のクラスも通り道。
「あれが新しい彼女だよ…」
後ろに居るクラスメートがヒソヒソと話すのが聞こえる。
奴の教室をチラッと見れば、
女子が一人ドアのところにいた。
その子が笑顔になったと思うと、
教室の中から出てきたのは奴…須藤悠で……
2人は教室前の廊下で、笑顔で話している。
奴の目線は彼女だけを見ていて…
私が通り過ぎるまで奴は、目線を彼女に向けたままだった。
奴は彼女になった子に優しく尽くす。
彼女と真剣に付き合うし、浮気なんて絶対しない。
さっきだって、『君だけを見ています』って目線だったのは皆見ていてわかる事。
「あの子、裏でイジメしてる子じゃん」
「2組の女子イジメている主犯?」
「悠君可哀想~」
「つかボロだして別れるのオチじゃん?」
後ろの子たちの言っている事が本当か嘘か…
それはわからない。
私には関係ない……関係ない…
でも願うならば…………