臆病者のシーソーゲーム(仮)




集合したのが夕方5時で、夜の8時に始まる花火まで屋台で物色を楽しんでいる私達。


食べ物の歩き食いは勿論、

お面の屋台で堀川に似合うお面を探したり、

皆で射撃対決や投げ輪対決をしたり、


小林も美希も社交的な方だから、初めましてでも気まずくなる事無く、

小林のウザったさで私が時々小林の足を踏むことはあったがワイワイと過ごしていた。














「あれっ?

あいつ…須藤じゃん」





後ろに背負っていた小林が発した言葉に、

私たちは足を止めて小林が指さす方を見る。






少し離れた場所……りんご飴の屋台の前に居るのは、

私服姿の奴と、ピンク色の浴衣で可愛く着飾った彼女…萌香。



奴の着ているTシャツの裾を握った萌香は笑顔で奴を見上げていて、

話し掛けられた奴も笑って萌香を見下ろしている。



「やっぱイケメンは違うね~めっちゃ可愛い彼女じゃん」

小林はそんな感想を言ったが、

地元祭りに地元の人間が居ておかしくない。

直ぐに興味が失せたようで、

『そろそろ花火の場所取りしに行こ~』

なんて言い始めたので、私たちはその場から動く。


 



< 32 / 91 >

この作品をシェア

pagetop