臆病者のシーソーゲーム(仮)
あんな萌香の一面を私は見てしまった訳だけど、
さっきの様子を見た限り上手く続いている様で………
良かった。
うん、良かったんだよ。
花火が見える河原の土手に行くには奴らの横を通らなければならなくて、
通り過ぎる瞬間にチラッと奴が顔を上げた気がするけど、
私達同中・同高の人間が居たと気づいては居ないだろう。
「つばちょん、俺には何で彼女できないんだろ~」
そんな質問を私の上からする小林。
「ウザいからでしょ」
「俺、彼女できたら超尽くすのに!?」
「ウザいからでしょ」
「高校でさ~、女子にフレンドリーに話しかけるのに、好きになってくれる人居ないんだよね」
「うん、ウザいからでしょ」
「ってつばちょん、『ウザい』ばっかり!旧友をオブラートに慰めろよ」
「ねえ、堀川。私こいつに優しさで会話返してあげてたけど、無視していい?」
私が美希の向こう側に居る堀川に言えば、
『良いんじゃね?』となんとも無責任な言葉が返ってきた。