臆病者のシーソーゲーム(仮)
『お前がこいつ誘ったんだろ』と言いたいところだったが、
私が堀川に言う前に、私が背負っている財布…じゃなくてウザイ小林が、
『堀川!それが心の友に対する態度!?
これは何かの試練なのですね。耐える事にしまーす』
とポジティブすぎる意味わからない事言いだしたので、
私は…きっと堀川も、
こいつに出会ってしまった自分の人生を悔やむことにした。
美希だけは、『あはは、小林君面白い事いうね』なんて優しく言っていたけど。
その内、周りには人が集まって来て、
8時ちょうどに響く音と、
空の黒に映える大きな花。
何が楽しくて小林を背負ったままこのロマンチックな花火を見なければならんのか…とも思うが、
今年もこうやって…友達と花火を楽しめた事を嬉しく思う。
きっと、今年小林を背負っていた事を同中の友達に話せば、爆笑話になってしまうのだろうけど。
河原の向こう側から点火される花火は、
クライマックスになり沢山打ちあがったかと思えば、
夏の寂しさを残すように終わった。
ここら辺の人たちはこの花火が終わると、
『ああ夏が終わった』と思うのだ。
私も、そして一緒に見ていた友2人とウザイ財布も思っているだろう。