臆病者のシーソーゲーム(仮)
花火の後というのは、皆が一斉に行動し始めるから通り道が混雑する。
暫く人の流れを土手から見守っていた私達だったが、
少し空いてきたところを見計らって立ち上がり、
花火前に通ってきた道を逆戻りする。
花火が終わったからか、店締めをするところもちらほらある。
「ちょっと俺トイレー」
トイレの近くに差し掛かった時、
後ろの重みが一気に無くなったと思ったら、
大きな声で皆を呼び止めるウザイ財…小林。
「あー俺もついでに行く」
小林一人なら置いて行ってしまえと思ったが、
堀川も連れションするようなので、私と美希は道の端で待つことにした。
「あっ、今の内に迎え呼んじゃうね」
今日この神社まで親が車で乗せてきてくれたらしい美希は、
持っていたカゴ巾着からスマホを出すと操作をし始める。
それを見送ってから、
私は、『あれ?今何時だろう?』なんて思いながら何気なく自分のバッグからスマホを取り出した。
スマホはチカチカと着信を知らせるランプが点いていた。
ピンク色のランプはメールの着信。
家族から『屋台で●●買ってきて~』のメールか、
友達から『お祭り来てるよね?どこいる?』のメールだろう。