臆病者のシーソーゲーム(仮)
ベンチに座ったまま、私の左腕を引っ張って引き寄せて…
立ったままの私のお腹あたりに顔を埋めるようにして、
ギュッと私を抱きしめた。
腰に回った悠の両手は、
不安を表すように震えていた。
だから私は、目の前にある悠の頭を優しく撫でる。
存在を確かめるように…
『大丈夫だよ』って言うように…
「流石だよ。椿…」
私のお腹でそう言う悠。
「だって私は…悠の『大切な友達』だから」
私がおどけた様に答えれば、
悠はクスクスと笑って、
「そうだね。椿は俺の『大切な友達』だ」
しっかりとした声で言った。