臆病者のシーソーゲーム(仮)
それからというもの、
私が屋上に居る時・行く時、須藤悠も屋上に来る事があった。
約束した訳でも、一緒に来る訳でもない。
頻繁とも言えないし、たまにとも言えないそんな間隔。
元々ユズルにも他の友達にもこの場所を言っていない私と、
何故かクラスメートや友達にここへ来る事を言っていない須藤悠。
その為、クラスが同じなのに教室では今までの様に話さない。
特に教室で須藤悠に話がある訳じゃないし、
須藤悠だってここへ来ている事を隠したいようだし、
屋上で会ったからと言っても、私たちは話さない時間の方が長い。
そんな『秘密の関係』と言えば意味深な、
『ただの共有』と言えばあっさりとした関係の私たちだったが、
奴と同じスペースで思い思いに過ごして何回目か…
華やかに咲き誇っていた桜が散り、
5月始めからのゴールデンウィークが過ぎて、
休み明けの学校に五月病患者が続出している頃………
「高山さん、初めて俺がここ来た時…『何かあったの?』って言ったよね」
フェンスに背を預けコンクリートに座り、
私は読書を、奴は私の隣でジッと空を見上げていた時、
徐に須藤悠は口を開いた。